エリオット波動はトレンドの転換点や継続を予測するためのテクニカル分析手法。
「エリオット波動は使えない!インチキ!」という意見があり、癖のある手法であることは事実です。
しかし、ダウ理論の派生だったりフィボナッチリトレースメントの基盤になっていることを踏まえると、知っておいて損はありません。
今回はエリオット波動が使えないと言われる理由や、トレードでの活用方法を詳しく解説していきます。
エリオット波動とは
エリオット波動とは、市場の価格が一定のパターンで動くことを示す理論です。
トレンドの転換点や継続を予測するのに役立ちます。
エリオット波動理論の基本的な考え方は、価格の動きが「波」として現れるというものです。
エリオット波動は、8つの波で構成されます。
例えば、上昇トレンドの場合、波1、波3、波5が上昇。
波2、波4が一時的な調整で下降。
5つの上昇波(推進波):これらの波は全体のトレンド方向に進みます。
3つの下降波(調整波):これらの波はトレンドに逆らう方向に進みます。
上昇トレンドが終了すると、波A、波B、波Cの3つの下降波が続きます。
エリオット波動の各波動はさらに小さな波動に分かれ、これが繰り返されます。
異なる時間足でも同じような波動パターンが見られるのです。
エリオット波動が使えないと言われる理由
エリオット波動は世界中で人気を集めるテクニカル分析手法ですが、使えないと言われることも多々あります。
その理由は5つ。
▼解釈の主観性が強い
エリオット波動の最大の問題は、その解釈が非常に主観的であることです。
異なるトレーダーが同じチャートを見ても、異なる波動パターンを見出すことがあります。
例えば1波と捉えるトレーダーもいれば、3派と捉えるトレーダーもいるようなイメージですね。
どの波が推進波でどの波が調整波かを決定するのが難しく、一定の基準がないため信頼性に欠けるとされます。
▼複雑すぎる
エリオット波動と一言に言っても、そのパターンは1つではありません。
フラクタル構造やさまざまなパターン(拡張波、トライアングル、フラットなど)を正確に理解し、実際の市場に当てはめるのは困難です。
特に初心者にとってハードルが相当高く、エリオット波動を敬遠する方も多いでしょう。
上で触れたように、人によって解釈が違うことも、エリオット波動をより複雑にしていますね。
一方でゴールデンクロスやダウ理論なんかは誰が見ても解釈が大きくズレることはありません。
分かりやすいテクニカル分析手法と比較してしまうと、エリオット波動が使えないと言われるのも無理はないです。
▼後付けのリスク
エリオット波動は過去のチャートに後付けで当てはめるのは比較的容易ですが、リアルタイムでの予測には難しさが伴います。
過去の動きを見ればパターンが明確に見えることが多いですが、リアルタイムではどの波が次に来るのかを正確に予測するのは非常に難しいです。
過去チャートを見てどれだけ分かった気になっていても、残念ながら実践で使えなければ何の意味もありません。
テクニカル分析はあくまでも未来の値動きを予測する為に使っているわけですからね。
▼市場はランダムという考え方
市場が本質的にランダムであるため、エリオット波動のような規則性を見つけるのは無意味であると主張するトレーダーも少なくありません。
つまりランダムな価格変動の中にパターンを見出そうとする試みは、見当違いであるという意見ですね。
ただ、個人的には相場の中にも規則性は存在すると考えています。
買われすぎれば調整が入り、売られすぎれば調整が入る。
これも一種の規則性だと思うんですよね。
結局相場はN字を描くように動いているのは真理でしょう。
▼他の手法との比較
エリオット波動を使ったトレードは、他の分析手法と比べて実際のトレードにおける勝率や利便性が劣ると感じるトレーダーもいます。
例えば、単純な移動平均線やサポート・レジスタンスライン、フィボナッチリトレースメントなど、より直感的で使いやすい手法を好むトレーダーも多いです。
これもエリオット波動の複雑さや主観性の強さに繋がる所ですよね。
エリオット波動は使えない?個人トレーダーの意見
エリオット波動に関するSNSでのトレーダーの意見をまとめました。
使えないという意見もたしかに多いのですが、一方で極めれば役立つ、分かりやすい所だけを見たら参考になるという意見もあります。
何が何でもエリオット波動の型にはめようとするのではなく、結局は値動きの本質を見ることが重要ということなのでしょう。
エリオット波動理論に関する私のスタンスは一貫してこんな感じです。使えるか使えないかで言えば使えない。好きか嫌いかで言えば大好きです。 pic.twitter.com/kinIA2fuZc
— BBB (@project_bbb) April 5, 2021
ゴールドロングの正解はこのラインでした。やはりMAとラインの組み合わせは勝ちやすいね
ちなみにこんなふうにダウ理論はまじで使えるけど、
エリオット波動はほんと使えないから勉強しなくていいと思う。これで朝の損失まくった~#ゴールド pic.twitter.com/aL7KzeKSbg
— かむ (@kamkam_fx) December 8, 2022
Twitterでエリオット波動は簡単とか言ってる人の説明見たけどデタラメ過ぎてびっくりしたわ。あんなの信じる人がいるからエリオット波動は使えないってなるのね。先生はエリオット波動は難解だからお勧めしないってずっと前からおっしゃってるし、わたしもそう思うの。
— さとこ株 (@dawin1958) June 9, 2020
ある程度エリオット波動をマスターすると、どうしてみんなエリオット波動を学ばないんだろうかと思うようになります。
マスターできないうちにやめてしまった人には使えないテクニカルと映ったと思います。
正しく理解し、マスターするまで学ぶことが何より大事です。— 一般社団法人日本エリオット波動研究所 (@jewri225) August 10, 2022
エリオット波動の活用方法5選
エリオット波動が使える、使えないは使い手の技量によって大きく左右されます。
ではエリオット波動をトレードで上手く活用するためにはどうすればいいのか?
エリオット波動を上手く活用する方法を5つ紹介します。
▼他のテクニカル指標と併用する
エリオット波動理論を単独で使用するのではなく、他のテクニカル指標と併用することで精度を高めることができます。
例えば、移動平均線、相対力指数(RSI)、MACDなどを使ってエリオット波動のパターンを確認し、エントリーやエグジットのタイミングを測ることが効果的です。
これはエリオット波動に限らず、どのテクニカル分析手法にも共通して言えることですね。
▼波動の基本ルールを徹底的に理解する
エリオット波動には基本的なルールがあります。
例えば、波2は波1の起点を下回らない、波3は最も短い推進波にならない、などです。
これらのルールを徹底的に理解し、波動のカウントを正確に行うことで、誤った判断を避けることができます。
▼大きな時間足から小さな時間足へと分析する
エリオット波動のフラクタル特性を活かして、まずは大きな時間足(週足や日足)で波動パターンを確認し、その後に小さな時間足(4時間足や1時間足)で詳細なエントリーやエグジットポイントを見つけると良いです。
チャートはフラクタル構造と言って、下位足の小さい波が集まり上位足を形成します。
例えば日足の一部分を拡大すれば1時間足の複数の波が確認でき、1時間足を拡大すれば5分足の波が確認できるわけです。
大きな時間足でのトレンド、波を把握することで、全体の流れに沿ったトレードができます。
▼フィボナッチリトレースメントを活用する
エリオット波動理論とフィボナッチリトレースメントを組み合わせることで、調整波の終わりや次の推進波の目標値を予測しやすくなります。
フィボナッチリトレースメントはトレンドの押し目や戻りを予測するのに役立つテクニカル分析手法。
人間が無意識の内に美しいと感じるような黄金比を示すフィボナッチ数列から派生したものです。
特に、38.2%、50%、61.8%といったフィボナッチレベルは、調整波の終わりの候補としてよく使われます。
フィボナッチリトレースメントをより深く理解するには、エリオット波動の知識が必要ともいわれるため、2つを1セットとして分析すると効果的でしょう。
フィボナッチリトレースメントに関する詳しい内容は個別記事をどうぞ。
>>フィボナッチリトレースメント FXで勝つための引き方とトレード手法
▼継続的な学習と練習
エリオット波動理論は習得に時間がかかるため、継続的な学習と練習が必要です。
過去のチャートを使って波動パターンを認識する練習を繰り返し行うことで、実際のトレードでの応用力が高まります。
また、専門書やオンラインコースを活用して理論を深く学ぶことも有益です。
少しでも手間を省いて稼ぎたいのであれば、「XANK」のような評判上々の自動売買ツールを検討してみてもいいかもしれません。
個人的に試してみましたが、3か月で602万円の利益を実現してくれ、実力は認める他ないなと思っているところです。
エリオット波動の原点はダウ理論にあり
ラルフ・ネルソン・エリオットがエリオット波動理論を開発する際、チャールズ・ダウが提唱したダウ理論から多くの影響を受けています。
つまり、エリオット波動を深く理解するには、ダウ理論への理解が必要不可欠というわけですね。
▼ダウ理論の考え方
ダウ理論の主な考え方は次の5つです。
1.市場はすべての情報を織り込む:価格はすべての利用可能な情報を反映している。
2.市場は3つのトレンドを持つ:長期トレンド(プライマリー)、中期トレンド(セカンダリー)、短期トレンド(マイナー)。
3.主要トレンドは3つのフェーズを持つ:積極的な買い、参加者の増加、過熱状態。
4.市場は相互に確認されなければならない:複数の市場(あるいは銘柄)で相関性を確認する必要がある。
5.トレンドは反転するまで継続する:明確なシグナルが出るまでトレンドは継続する。
ラルフ・ネルソン・エリオットは、このようなダウ理論の基本的な考え方をさらに発展させ、より細かく市場の動きを分析する手法を確立しました。
▼エリオット波動とダウ理論の関連性
ダウ理論が提唱する市場のトレンドの考え方は、エリオット波動理論の基礎となっています。
エリオット波動もトレンドが存在し、そのトレンドは特定のパターンで動くという前提に基づいています。
ダウ理論の3つのトレンドフェーズ(積極的な買い、参加者の増加、過熱状態)は、エリオット波動の推進波と調整波の概念に類似しています。
ダウ理論が価格の動きに規則性があると示唆したのに対し、エリオット波動理論はその規則性をより詳細に分析し、特定の波動パターンを特定したわけです。
ダウ理論、フィボナッチリトレースメントあたりを学びたいのであれば、エリオット波動の知識は役に立つと思います。