FXや株など投資の世界にはアノマリーと言われるジンクスが存在します。
例えば、3月は米ドル円が下落しやすく、4月は上昇しやすいなど。
もちろん必ずしもそうなる保証はありませんが、知っているかどうかで相場への向き合い方は大きく変わります。
今回はFXトレードに役立つアノマリーを一覧で紹介すると共に、「ジブリの呪い」と言われる異質なアノマリーについて検証して確かめてみました。
FXの代表的アノマリー一覧
FXにおけるアノマリーは、大きく分けて月別アノマリーと曜日別アノマリー、その他の3つに分類できます。
まずは主要な月別アノマリーと曜日別アノマリーから一覧にして紹介していきましょう。
月別アノマリー
月別アノマリーは、月によって相場の方向性や変動幅に規則性が見られる現象のことです。
月別アノマリーは月ごとに通貨の需要と供給が変化することが主な要因と考えられています。
例えば、以下のような月別アノマリーが知られています。
▼1月
米ドル円で1月の相場の方向性がその年全体のトレンドになりやすいと言われています。
これを1月効果とも読んだりします。
また、1月はその年の高値や安値をつけることが多いとも考えられているようです。
2023年8月時点を見てみると、1月につけた127円台が今のところ最安値となっています。
2021年と2022年に関しても、1月につけた最安値がその年の最安値となっていました。
1月アノマリーは中々信頼度高めと言えるのではないでしょうか。
▼2月
2月は米ドル円が下落しやすいというアノマリーがあります。
これは2月に米国債の償還や利払い、ヘッジファンドの決算などが控えているため。
米国債を保有している日本の投資家は、このタイミングでドルを円に換えるので、円高方向に動きやすいとされています。
しかし2023年2月のドル円はむしろ上昇。
2020年と2021年のドル円も上昇しており、2月は信頼度低めのアノマリーと言えそうです。
▼3月
3月は円高になりやすい傾向があると言われています。
3月は日本企業の年度決算が非常に多い時期。
そのため、日本企業が海外事業で得た利益を日本へ送金する際、外貨を日本円に換金することになります。
必然的に日本円の需要が増すわけです。
2023年3月の日足チャートを見てみても、たしかに円高に振れていることが確認できました。
2021年と2022年の3月についてもチャートを確認してみましたが、アノマリーとは真逆の円安傾向になっていました。
▼4月
新年度に外貨投資に新規資金が流入するため為替が大きく動きやすいとされています。
米ドル円で言えば、ドルが買われ円が売られる傾向が強いです。
2022年と2023年ともに4月はドル円が上昇傾向にありました。
過去の傾向を見ても、中々信頼できそうなアノマリーだと思われます。
▼5月
相場の世界には「Sell in May」という有名な格言があります。
これは5月には全てを売り、9月まで相場に戻ってくるなという意味が込められています。
格言通り、株式市場や為替市場に売りムードが広がりやすく、米ドル円であれば下落に傾く可能性が高いとされています。
ただし、2021年と2023年は格言を覆し、米ドル円は上昇しました。
結果的に見ると、売られたのは米ドルではなく、日本円だったということになりそうです。
▼6月
6月は相場の転換点となりやすい月とされています。
また、1月と同じようにその年の高値や安値をつけることが多いとも言われているようです。
▼7月・8月
夏休みシーズンで市場参加者が減る時期。
夏枯れ相場とも言われるのが7月・8月です。
ドル円は7月では上昇しやすく、8月では下落しやすい傾向にあります。
2023年のチャートを見てみると、7月は下落、8月に入ってから年初来高値を更新しました。
2021年、2022年を見てみても、7月に下落し8月に上昇を確認できました。
再現性のあるアノマリーと言えるかもしれません。
▼9月・10月
9月・10月は大相場を形成しやすく、9月で発生したトレンドが10月まで継続することも多いとされています。
日本企業の中間決算に向けて円買いが増えるため、ドル円は下落しやすい。
2022年に関してはアメリカ利上げの影響もあり、ドル円が9月10月だけで12円以上上昇しました。
▼11月
11月は9月から継続したトレンドがポジション調整により終わりを迎えることが多い。
仮に9月から上昇トレンドにあったならば、11月下旬からは下落トレンドに切り替わる可能性が考えられます。
2022年を振り返ってみると、10月まで続いたドル円の上昇トレンドは11月で終わりを迎えています。
11月に生まれた下落トレンドは年始まで続きました。
▼12月
12月はクリスマスや年末年始の休暇に入るため市場参加者が激減し、相場が荒れやすくなります。
ボラティリティが高くなり、スプレッドも広がりやすい特徴があります。
リスクの高いトレードを強いられるため、積極的にトレードしない方が吉ともいわれがち。
曜日別アノマリー
曜日別アノマリーは、曜日ごとに相場の方向性や変動幅に規則性が見られる現象です。
これは週末や祝日などの休日前後によって、通貨の需要と供給が変化することが影響しています。
例えば、以下のような曜日別アノマリーが知られています。
▼月曜日のアノマリー
月曜日は週末のニュースやイベントの影響を受け、相場が大きく動きやすい特徴があります。
特に午前9時の東京市場オープン後、一時間ほどは値動きがかなり激しくなりがち。
月曜日の朝トレードをするならば、10時以降のある程度値動きが落ち着いてからの方がいいかもしれません。
また、月曜日は週明けのポジション調整により、前週のトレンドと反対の動きをすることもあるので注意が必要です。
▼火曜日のアノマリー
月曜日の動きを修正するように、火曜日は比較的相場が安定することが多いです。
また、火曜日から木曜日までの間に重要な経済指標が発表されることが多く、火曜日は様子見ムードとなりがち。
▼水曜日のアノマリー
土日分の金利が水曜日にまとめてスワップ金利として付与されるため、金利差の大きい通貨ペアに資金が流入することが多い。
例えば、豪ドル円やトルコリラ円などは水曜日に上昇しやすいと言われています。
▼木曜日のアノマリー
木曜日は水曜日のスワップ金利の影響を受け、反対の動きをすることが多いと考えられています。
また、週末に向けてポジション調整の売り買いが増えることもあります。
▼金曜日のアノマリー
週末のリスク回避のため、安全通貨である円やスイスフランが買われがちです。
また、金曜日は米国雇用統計などの重要な経済指標が発表されることが多く、相場に大きな影響を与えることもあります。
その他のFXアノマリー
月や曜日以外にも、以下のようなFXアノマリーが知られています。
▼月初めのアノマリー
月初めは新規の資金が入りやすく、相場が上昇しやすい傾向があります。
特にドル円は月初めの方向感が、その月全体のトレンドになりやすいと言われています。
▼月末のアノマリー
月末は利益確定やポジション調整の動きが多くなり、相場が下落しやすい傾向があります。
特に日本企業の年度決算に向けたリパトリエーション(外貨を円に換えること)が影響して、ドル円は3月や9月の月末に下落することが多いです。
▼ゴトー日アノマリー
数字の5と10が付く日(ゴトー日)には、日本の輸入企業などがドル決済を行うため、ドル円が上昇する傾向があります。
このゴトー日の値動きを利用した自動売買システムもあるため、トレーダーの間では信頼度の高いアノマリーとも言えます。
▼水星逆行
占星術の考え方に基づいて、水星が逆行する期間は相場が不安定になりやすいというアノマリーです。
FXだけではなく株投資家の間でも、昔から相場が荒れやすいと言われています。
ちなみに2023年は4月21日~5月15日、8月24日~9月16日、12月13日~1月2日が水星逆行が発生するようです。
▼新月・満月
水星逆行と同じく、占星術の考え方に基づき、新月や満月の日は相場の変化点となりやすいというアノマリーです。
▼米大統領選
米大統領選の翌年は、為替が動きやすくなると言われています。
「ジブリの呪い」を検証してみた
金曜ロードショーでジブリが放送されると円高に振れるという異質なアノマリー「ジブリの呪い」と言われるものもあったりします。
特に毎月第一金曜日に発表される米国雇用統計とジブリ放送日が重なると、高確率でドル円が下がるらしい。
この現象は、2006年に天空の城ラピュタが放送されたころから話題になりました。
一説によれば、ジブリの映画に感動したり興奮したりすることで、投資家の心理が変化し、リスク回避の動きが強まるという説があります。
信じるか信じないかはあなた次第というやつです。
実際に2023年ジブリが放送されたタイミングの値動きを見てみると、5回中4回が円高方向に振れていることが確認できます。
中でも1月6日と7月7日の雇用統計と重なった日は、大幅に円高に振れていることがわかりました。
※チャート内の青丸は放送開始の21時ころを示しています。
▼2023年1月6日 ハウルの動く城
雇用統計と重なったこともあり、放送開始直後から大きくドル円は下落。
月曜日の午前中にかけて340pipsほどの下落に繋がっています。
▼2023年1月13日 思い出のマーニー
6日の雇用統計の結果が悪くゴリゴリの下落トレンド中ということもあり、13日のジブリの呪いは猛威を振るっています。
月曜日の昼間にかけ160pipsの下落。
▼2023年7月7日 風の谷のナウシカ
ドル円が145円まで上昇する中、7月7日に雇用統計発表と風の谷のナウシカ放送という運命の日。
雇用統計の結果が悪かったこともあって、ドル円はナイアガラとも呼べるほどの急落となりました。
最終的には役600pipsの下落となり、まさにバルス。
▼2023年7月14日 コクリコ坂から
この週はレンジ相場ということもあってか、コクリコ坂が放送されても大きく円高に振れるようなことはありませんでした。
▼2023年7月21日 もののけ姫
この日7月7日の急落をカバーするように、東京時間からドル円が上昇。
しかし、まさにジブリの呪いかのように、もののけ姫が放送される21時のタイミングで約60pips円高に振れました。
2023年の統計的に見ても、ジブリの呪いは中々信頼度のあるアノマリーだと言えそうです。
もちろん相場はさまざまな要因で変動しますので、ジブリの呪いを過信しすぎるのは危険なのは言うまでもありません。
FXアノマリーを活用したトレード例
アノマリーを利用するには、まずアノマリーが発生する可能性の高い日や時間帯を把握することが重要です。
例えば、月初めや月末、ゴトー日などは、アノマリーに注意するべきタイミング。
次に、アノマリーが発生した場合、どのようなポジションを取るかを事前に決めておくことが必要でしょう。
ジブリの呪いが発生した場合はドル円を売る、ゴトー日はドル円を買う、水曜日スワップは円を売り米ドルを買うなど。
ただし、アノマリーに従ってエントリーした場合でも、必ずストップロスや利食いの注文を入れておくことをおすすめします。
アノマリーは必ずしも当てはまるとは限りませんし、相場は予想外の動きをすることもあります。
損失を最小限に抑えるためにも、リスク管理は欠かせません。
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