FX取引を行う上で、「ゼロカットシステム」という言葉を耳にした事があるでしょうか。
このシステムは海外FX業者が提供する独自の仕組みであり、トレーダーにとって大きなメリットがありますが、同時にデメリットや注意点も存在。
本記事では、FXのゼロカットシステムについて解説します。
ゼロカットシステムとは
ゼロカットシステムは、海外FX業者が提供する独自サービス。最大の特徴は、トレーダーの損失が証拠金額を超えた場合でも、追加の支払いを要求されない事にあります。
通常、トレーダーが取引を行い大きな損失を被った場合、損失額が証拠金額を超過すると追証(追加証拠金)が発生します。
しかし、ゼロカットシステムが作動すると損失額は証拠金額に留められ、トレーダーの口座残高は0円になりますが借金が発生しません。
このシステムにより、高レバレッジ取引を行う際に大きな安心感を得ることができます。
一方、国内FX業者は顧客の損失を補填することが金融商品取引法により禁止されているため、ゼロカットシステムを導入できません。
ゼロカットシステムのメリット
ゼロカットシステムは、トレーダーにとって多くのメリットがありますので見ていきましょう。
借金リスクが無い
ゼロカットシステムの最大のメリットは、借金リスクが無いことです。
通常のFX取引では、急激な相場変動により、投資した金額以上の損失が発生する可能性が。
しかし、ゼロカットシステムがあれば、最悪の場合でも損失は証拠金額に留まるため、トレーダーは精神的なストレスを軽減し、より冷静な判断で取引を行う事ができます。
また、破産リスクを心配すること無く、積極的な取引戦略も可能です。
高レバレッジ取引が可能
ゼロカットシステムは、高レバレッジ取引を安全に行うことを可能に。
海外FX業者の中には、1000倍以上のレバレッジを提供している所もあります。
高レバレッジ取引は大きな利益を得る可能性がある一方でリスクも高くなりますが、ゼロカットシステムがあれば最悪の場合でも証拠金以上の損失を被る事はありません。
これにより、トレーダーは自身のリスク許容度に応じて、より積極的な取引戦略を取ることができます。
追証が発生しない
国内FXでは損失が証拠金を上回った場合、追証(追加証拠金)が発生しトレーダーに追加の資金を要求します。
一方、ゼロカットシステムがある海外FXでは、追証が発生しません。
損失が証拠金を上回った時点で取引が強制決済され、口座残高は0円になりますが、それ以上の支払い義務は生じません。
これにより、トレーダーは予期せぬ追加出費を心配する事なく、取引に集中する事ができます。
資金管理が容易
ゼロカットシステムは、トレーダーの資金管理を容易に。
最大損失額が証拠金額に限定されるため、リスク管理がしやすくなります。
例えば、10万円の証拠金で取引を始めた場合、最悪のシナリオでも損失は10万円に留まるため、トレーダーは自身の資金状況に応じて適切なリスク管理を行うことができます。
心理的な安心感
ゼロカットシステムは、トレーダーに心理的な安心感をもたらします。
借金リスクや追証の心配が無いため、より落ち着いて取引に臨むことが可能。
この心理的な安定は、冷静な判断力を維持し、より良い取引決定を行うことに繋がります。
特に、初心者トレーダーにとって、この安心感は非常に重要です。
ゼロカットシステムのデメリット
ゼロカットシステムには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。
業者によって信頼性が異なる
ゼロカットシステムを提供している海外FX業者の中には、信頼性に欠ける業者も存在します。
一部の業者では、ゼロカットシステムを謳いながら、実際は適用しないケースや、突然のルール変更で顧客に不利益を与えるケースがあります。
このため、業者選びには十分な注意が必要です。
- 金融ライセンスの有無
- 運営年数
- ユーザーからの評価や口コミ
- カスタマーサポートの質
- 資金の分別管理の有無
上記の確認をおすすめします。
信頼できる業者を選ぶことで、このデメリットを最小限に抑えることが可能です。
悪用すると口座凍結のリスクが
ゼロカットシステムを意図的に悪用すると、口座凍結などのペナルティを受ける可能性があります。
- 両建て取引を利用してゼロカットを狙う
- 経済指標発表時に過度に大きなポジションを持つ
- システムの脆弱性を突いて取引を行う
上記のような行為は禁止されていますが、発覚した場合、「口座凍結」「利益没収」「取引無効」などのペナルティが課される可能性が。
ゼロカットシステムは、トレーダーを保護するための仕組みであり、悪用は厳しく禁止されています。
発動タイミングが業者によって異なる
ゼロカットシステムの発動タイミングは、業者によって異なります。即時に発動する業者もあれば、数時間~数日かかる業者も。
発動タイミングの違いにより、以下の可能性が考えられます。
- マイナス残高が一時的に表示される
- 新規取引が一時的に制限される
- 入金やボーナスの適用に影響が出る
取引や資金管理に影響を与える可能性があるため、事前にゼロカットの発動タイミングを確認しておく事が重要です。
取引の自由度が制限される
ゼロカットシステムを提供する業者の中には、リスク管理の観点から取引の自由度を制限しているケースがあります。
- 特定の通貨ペアの取引
- 経済指標発表時の取引
- 最大ポジションサイズ
上記の制限は、トレーダーの取引戦略に影響を与える可能性があります。
特に、スキャルピングやニュース取引を主な戦略としているトレーダーは注意が必要です。
コストが高くなる
ゼロカットシステムを提供するために、業者側でもリスク管理を行う必要があります。
そのコストを補うため、「スプレッドが広くなる」「手数料が高くなる」「スワップポイントが不利になる」などの形でトレーダーに転嫁される可能性が。
これらのコストは、長期的に見ると取引の収益性に影響を与えます。
特に、頻繁に取引を行うトレーダーや、長期保有を主な戦略とするトレーダーは、これらのコストに注意を払う必要があります。
ゼロカットシステムの注意点
ゼロカットシステムを利用する際は、いくつかの注意点があります。
これらの注意点を守ることで、より安全かつ効果的にゼロカットシステムを活用することが可能です。
信頼できる業者を選ぶ
前述のとおり、ゼロカットシステムを提供する業者の中には信頼性に欠けるものもあります。
金融ライセンスの有無と種類、運営年数と実績、ユーザーからの評価や口コミ、カスタマーサポートの質(特に日本語対応の有無)、資金の分別管理の有無、ゼロカットシステムの具体的な適用条件などを確認し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
これらの情報は、業者のウェブサイトや、FX関連のフォーラム、比較サイトなどで確認することができます。
利用規約をよく読む
ゼロカットシステムの利用規約は、業者によって異なります。
ゼロカットシステムの適用条件、禁止されている取引行為、ペナルティの内容、ゼロカット発動時の手続きなどについて、必ず確認しておきましょう。
利用規約を理解せずに取引を行うと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
適切なリスク管理を行う
ゼロカットシステムがあるからといって、過度なリスクを取ることは避けるべきです。
適切なレバレッジ設定、ストップロスの活用、1回の取引での最大損失額の設定、資金管理(例:総資金の1%以上をリスクにさらさない)などのリスク管理を心がけましょう。
適切なリスク管理を行うことで、ゼロカットシステムを「最後の砦」として活用することができます。
両建て取引を避ける
両建て取引(同一通貨ペアの買いと売りのポジションを同時に持つ取引)は、多くの業者で禁止されています。
これは、ゼロカットシステムを悪用する手段として使われる可能性があるためです。
両建て取引を行うと、口座凍結や取引の無効化などのペナルティを受ける可能性があります。
リスクヘッジが必要な場合は、別の通貨ペアを利用するなど、代替手段を検討しましょう。
経済指標発表時の取引に注意
経済指標発表時は、相場が大きく動く可能性があります。
この時間帯に過度に大きなポジションを持つことは、ゼロカットシステムの悪用と見なされる可能性も。
経済指標発表時の取引を行う場合は、ポジションサイズを通常よりも小さくする、ストップロスを必ず設定する、業者の規約で制限がないか確認するなどの注意が必要です。