シンガポールに拠点を置く仮想通貨取引所「Phemex(フェメックス)」
577種類の仮想通貨が取引可能で、日本には無い草コインを取り扱っているのが魅力です。
しかし、Phemexは2025年1月に大規模なハッキング攻撃を受けており、安全性に不安を感じている人も多いでしょう。
この記事では、Phemexで起こったハッキング事件や出金トラブルについて解説。どのような評判か紹介します。
【最新】Phemexでハッキング事件
2025年1月23日、Phemexは北朝鮮ハッカーからハッキング被害を受けたと発表。ハッカーはPhemexのホットウォレットに侵入し、7000万ドル以上の暗号資産を盗んだとのこと。
ビットコイン・イーサリアム・リップルのような規模の大きい仮想通貨だけでなく、数百種類にも上るマイナーなトークンも盗まれました。
大規模なハッキングによる盗難事件という事で話題になりましたが、顧客資産はコールドウォレットで管理されていたため、被害を受けていません。また、Phemexは被害が遭ったユーザーには補償する計画があると発表しています。
これらの事から、Phemexのセキュリティ対策や対応を評価する声もあるようです。
Phemexはハッキング後も18億ドル相当の仮想通貨を保有しており、事件後も運営に大きな影響はきたさないと考えられています。ただ、18億ドルのうち11億ドルは独自トークン「PT」となっており、これはハッキング以後相場が右肩下がりです。
もし今後PTトークンの価値が下がり続けるようだと、資金繰りが悪化し出金停止などのトラブルが頻発する可能性も考えられます。
顧客資産をコールドウォレットで保管していた事は不幸中の幸いですが、ハッキングを受けたのは事実。Phemexの信頼性が下がりつつある現在、利用は慎重になった方が良いでしょう。
Phemexのリスク
ハッキングなどのセキュリティ面以外にも、Phemexを利用するリスクはあります。
特に重要なリスクが以下の4点。
- 金融庁の認可を受けていない
- 企業の所在地や連絡先が分からない
- 口座凍結トラブルが報告されている
- 詐欺コインが上場していた過去がある
これらのリスクについて解説します。
金融庁の認可を受けていない
Phemexは暗号資産交換業者として金融庁に登録していない未認可の業者です。
通常、日本で仮想通貨取引所を運営するには金融庁に登録しなくてはなりません。
認可を受けていない取引所は以下のようなリスクがあります。
- 投資家保護を受けられない
- 安全性の低い仮想通貨を上場させている
- 連絡が取れなくなる etc…
特に問題なのは、適切な投資家保護を受けられないこと。
例えば、出金停止トラブルなどが起こった時、金融庁に登録している業者であれば「日本暗号資産等取引業協会」などに相談可能です。
しかし、Phemexのような認可を受けていない海外業者だと、トラブルが起こっても全て個人で解決しなくてはなりません。
Phemexを利用すること自体は違法ではありませんが、何があっても自己責任という事は覚えておきましょう。
企業の所在地や連絡先が分からない
Phemexの公式サイトには、運営会社の所在地や連絡先といった基本的な情報の記載がありません。
海外業者であるPhemexは、国内業者であれば必ず記載する特定商取引法に基づく表示などがなく、運営実態が不明です。
辛うじてLinkedinに「シンガポール」という記載はありますが、それすら詳細な住所は分かりません。
所在地すら明確に示していない時点で、“怪しい取引所”と警戒しなくてはなりません。
トラブルが起こっても連絡が付かなくなる可能性があり、Phemexを利用するリスクは非常に大きいと考えてください。
口座凍結トラブルが報告されている
SNS上では、Phemexの利用者から口座凍結トラブルがいくつも報告されています。
#Phemex_Scam
Scam phemex exchange.
My fund is frozen please do not deposite phemex scam exchange 🤬🤬🤬🤬🤬🤬🤬🤬 pic.twitter.com/QjdpMAAZG6— Hasbiland (@akash953640) November 15, 2023
⚠️ Phemex Collapse⚠️
I contacted Phemex support about a missing deposit. In the middle of the chat, they banned my account holding $3,450 no explanation, no response since.
This is abnormal and highly suspicious.
🚨 Withdraw your funds immediately. @Phemex_official is a scam.— Jen crypto꧁IP꧂ (@jenweb3space) July 10, 2025
「納得のいく理由の説明も無く資金が引き出せなくなる」といったトラブルが起こっており、「詐欺的な取引所」という評価すら見られます。海外の仮想通貨やFXの取引所では、こういった出金トラブルは珍しくありません。
例えば、2022年には海外FX取引所のGEMFOREXで大規模な出金停止が発生。原因は決済代行業者による資金の持ち逃げでした。このトラブルは2025年に入っても解決されていません。
たとえ取引所自体が不正を行わなくても、海外では周辺の業者が悪事を働いて出金トラブルに繋がる事があります。運営実態が不明なPhemexでも、同様のトラブルが起こる可能性は十分考えられます。
詐欺コインが上場していた過去がある
Phemexでは過去に詐欺コインを上場させていました。
Phemex delisting scam projects pic.twitter.com/7YO3MQ9ny0
— Kēlvīn (@kelvinkfx1) October 24, 2024
現在、一定数の詐欺コインは上場廃止になっていますが、577種類以上ある仮想通貨の中にはこういった怪しい物も混じっています。
詐欺的な仮想通貨を掴まされると、大きな損失を被る可能性が。確かに草コインは一攫千金のロマンがありますが、こういったリスクも踏まえた上で投資してください。
Phemexのメリット
これまでPhemexのリスクについて解説しましたが、利用するメリットがあるのも確かです。
例えば、以下はPhemexを利用する主なメリット。
- 577種類以上の銘柄を取り扱っている
- オンチェーン取引ができる
- 取引ボットを作成できる
- ボーナスが豊富
これらのメリットについて解説します。
577種類以上の銘柄を取り扱っている
2025年8月現在、Phemexでは577種類以上の仮想通貨を取り扱っています。
ビットコインやイーサリアムといった代表的な仮想通貨はもちろん、日本国内では取り扱っていない草コインも豊富に取り揃えています。
価格が10倍以上になる銘柄も珍しく無く、少ない資金で大きな利益を得るチャンスがあります。
ただし、先述した通り詐欺的なコインも混じっているため、プロジェクトを確認するなど銘柄選びは慎重に行う事が大切です。
オンチェーン取引ができる
Phemexでは直接ブロックチェーン上で行う「オンチェーン取引」が可能です。
一般的に仮想通貨取引所はCEX(中央集権型取引所)となっており、取引所のサーバー内で上場済みの仮想通貨売買を行う「オフチェーン取引」を行っています。
一方、オンチェーン取引では直接ブロックチェーン上で取引を行うため、取引所に上場していない仮想通貨も売買可能。
オンチェーン取引には自前のウォレットが必要ですが、Phemexではウォレットが不要で誰でも簡単に始める事ができます。
まだ注目を集めていない仮想通貨を専門知識なしで取引できるのは、Phemexの大きな魅力です。
取引ボットを作成できる
Phemexでは自動売買を行う取引ボットを作成する事ができます。
ボットは一から自分で作成できますし、戦略プールの中から既存のパラメーターをコピーして利用も可能。
その他、他ユーザーの戦略を真似る「コピートレード」も利用でき、トレードを自動化するシステムが豊富にあります。
手軽に自動売買できるのはPhemexの大きなメリットの1つです。
イベント・キャンペーンが豊富
Phemexでは、仮想通貨やボーナスが貰える様々なイベントやキャンペーンを開催。
例えば、新規登録者限定のウェルカムリワードでは、以下の報酬を獲得できます。
- 本人確認の完了:10~1200USDT
- 50USDT以上の初回入金/コイン購入:5~1500 USDT
- 100USDT以上の初回現物/契約取引:5~2100 USDT
その他、独自のPTトークンが貰えるエアドロップを不定期に開催するなどイベントは豊富。
ゲーム感覚で仮想通貨を手に入れる事ができるでしょう。
Phemexの注意点
Phemexを利用する際は、以下の点に注意する事が大切です。
- こまめに出金を行う
- 仮想通貨の情報を事前に調べて取引する
- 自己責任で取引する
Phemexは安全性に疑問があるため、利用するならリスクを下げる対処が必須です。
以下、Phemexを利用する際の注意点について解説します。
こまめに出金を行う
Phemexでの取引で利益が出た際は、こまめに出金するのがおすすめです。
Phemexは出金トラブルが多く報告されており、いつどんな理由で口座が凍結されるか予測が付きません。
利益を再投資できないのは資金効率の面で不利ですが、引き出せなくなってしまうと元手の分だけ損になるだけです。
最低でも利益の50%程度は現金化して確保しておく事をおすすめします。
仮想通貨の情報を事前に調べて取引する
Phemexは詐欺的な仮想通貨が上場していた過去があります。当然、Phemex側も上場廃止にするなど対処していますが、未だ怪しいコインが残っていないとも限りません。
詐欺的な仮想通貨に引っ掛からないためには、事前にホワイトペーパーを確認するなどして、意義のあるプロジェクトか調べる事が重要です。
また、SNSなどで投資したい仮想通貨の情報を集めるのも良いでしょう。577種類以上の仮想通貨すべての情報を集める必要はありませんが、投資したいコインが何を目的として作られたかくらいは確認するように。
自己責任で取引する
Phemexを利用する際は、何があっても自己責任という意識で取引するのが大切です。
金融庁に登録していないPhemexでは、口座凍結されても日本の法律では対処しようがありません。もちろん、Phemexに抗議できますが、解決される可能性はほぼ無いでしょう。
また、日本の法律に従っていない海外業者を利用したのだから、世論を味方に付けて社会問題化する事も難しいです。
損失があっても誰も助けてくれないという事を肝に銘じて、余分な金額を取引所の口座に残しておかないなど、資産を守るために慎重な行動を心掛けてください。
Phemexの評判
Phemexの評判についてSNSユーザーの投稿からいくつか紹介します。
悪い評判:ハッキング事件を起こした
1/ 🍌 January’s Phemex Exchange Hack: $69M-$85M vanished across 16 blockchains.
The cause? Compromised private keys, a testament to overlooked key segregation.
A foundational reminder that centralized points of failure require continuous re-evaluation.
— Rhythm Jain (@cyphorX) August 14, 2025
The North Korean Lazarus Group is behind the $1.4 billion Bybit hack, according to @zachxbt
Hackers also stole $69 million from @Phemex_official , laundering the stolen funds through an ETH wallet 0x33d0.8F65
Will exchanges strengthen their security measures after this attack? pic.twitter.com/HayEooRgce
— Kleptoma_n 🍀 (@kleptoman_n) February 22, 2025
Phemexに関して話題となっているのは、やはり2025年1月のハッキング事件に関するもの。
CEXの問題点や北朝鮮ハッカーの動向など、この事件をきっかけに様々な議論が為されています。
Phemexのセキュリティ対策も不安視されており、信頼性に大きな影響を与えた事件として話題です。
他にも出金停止トラブルや詐欺コインなど、Phemexの問題点に関する口コミはSNSで非常に多く見つけられます。
良い評判:キャンペーンの内容が豪華
🔥 New Insane Deal From OG Exchange Phemex!
Available to anyone, anywhere.
Deposit $1,000 👉 Get $200 cash back
Deposit $10,000 👉 Get $999 cash back
Deposit $15,000 👉 Get $1,299 cash backPLUS, GET BUMPED TO VIP LEVEL 2
– 50% discount on spot trading fees
– 40% discount on…— Lark Davis (@TheCryptoLark) August 9, 2025
Phemexの良い評判は、キャンペーンに関するものが比較的多く見られました。
入金だけで1000ドル以上のキャッシュバックが受けられるという事で、特にインフルエンサー系のアカウントで盛んに紹介。
全てのキャッシュバックを受けるには取引量など厳しい条件がありますが、数十ドル程度であれば簡単に得られるので評判になっているようです。
Phemexの概要
Phemexの概要について紹介します。
- 会社名称:不明
- 所在地:シンガポール
- 代表:Jack Tao
- 設立年:2019年
Phemexの運営会社に関する情報は公式サイトに記載されていません。ただし、ネット上では複数の情報が出回っています。
例えば、インドの調査プラットフォーム「Tracxn」によれば、Phemexの運営会社は「Phemex Technology Pte. Ltd.」とされています。
一方、仮想通貨情報サイト「Coin Market Cap」によれば、運営会社は「Phemex Financial Pte. Ltd」とのこと。
ところが、Phemex Financial Pte. Ltdはシンガポールの企業情報サイト「Record Owl」によれば、すでに登録抹消(Struck Off)されています。
所在地も先述のCoin Market Capでは現在イギリス領ヴァージン諸島に拠点を移したとされており、一体どのような会社が運営しているか全く分かりません。
また、代表者は「Jack Tao」という人物とされており、確かに公式サイトにも「ジャック」という名前が出てきますし、インタビューも行っています。
Jack Tao氏はモルガンスタンレーで11年間上級管理職を務めた人物で、2019年にPhemexを設立したとの事ですが、現在まで代表を務めているかは不明。
ネット上に断片的な情報は転がっていますが、公式サイトではまるで素性を隠すかのように情報を明らかにしていません。この時点で要注意な取引所という事が分かります。
手数料
Phemexの取引手数料は以下の通り。
- 現物取引(メイカー):0.1%
- 現物取引(テイカー):0.1%
- 契約取引(メイカー):0.01%
- 契約取引(テイカー):0.06%
現物取引はメイカー・テイカーともに0.1%、契約取引はメイカーが0.01%、テイカーが0.06%となっています。
ただし、Phemexには取引量などに応じた「ユーザーランク」という制度があり、ランクが上がるごとに手数料は安くなります。
その他の手数料は以下の通り。
- 入金手数料:無料
- 出金手数料:無料
- コピートレード手数料:無料
入金・出金手数料は全て無料。ただし、出金時にはブロックチェーンのネットワーク手数料が掛かるため注意が必要です。
また、コピートレードも使用自体は無料ですが、メイカー・テイカー手数料は掛かるため、コピーしたいユーザーのランクが自分より高いと想定よりも多くの手数料が掛かる可能性があります。
取引方法
Phemexでは以下の取引方法を利用できます。
- ワンクリック購入:仮想通貨をクレカなどで直接購入する方法
- P2P取引:他のユーザーから仮想通貨を直接購入する方法
- デリバティブ取引:レバレッジをかけて仮想通貨を売買できる契約取引
- 現物取引:仮想通貨現物を売買する取引
- オンチェーン取引:ブロックチェーン上で直接取引する方法
仮想通貨を直接購入できる他、別ユーザーから購入するP2P取引、仮想通貨市場で取引するデリバティブ・現物取引など、多様な取引方法があります。
また、ブロックチェーン上で直接取引するオンチェーン取引も実施しているのは特徴的です。
その他、「Phemexローンチプール」というステーキングサービスも提供。様々な方法で資産運用ができます。
セキュリティ対策
Phemexは2025年1月にハッキング被害を受けましたが、セキュリティ対策をしてないわけではありません。
以下の対策を実施しています。
- ウォレットセキュリティ:顧客の資産をコールドウォレットで管理
- システムセキュリティ:Amazon Web Service (AWS) Cloudでのシステム運用
- ユーザーアカウントのセキュリティ:2段階認証の実施
- トレーディングエンジンの安全性:他社の10倍の高速取引と独自のリカバリーシステム
特に重要なのがコールドウォレット管理で、これによって顧客資産のハッキング被害を防ぐ事ができました。
ただし、これらの対策はPhemexがまともに運営されている事が前提の話です。
運営会社の情報を公式サイトに載せないような取引所ですから、こういった対策も口先だけかも。
次にハッキングされた時は顧客資産にまで被害が及ぶ可能性はゼロでは無いので、自ら資産を守る事を心掛けた方が良いでしょう。
Phemexの利用方法
最後に、Phemexの利用方法について紹介します。
口座開設・ログイン
Phemexで口座開設する手順は以下の通り。
- メールアドレスとパスワードを登録する
- 本人確認(KYC)をする
まずはPhemexの公式サイトにアクセスして、メールアドレスと使いたいパスワードを入力して送信します。
口座開設自体はこれだけで完了。公式サイトのログインページからメールアドレスとパスワードを入力すればログインできるようになります。
本人確認(KYC)はマイページから「アカウント概要」を選択し、「ID・顔認証」ボタンをクリックして手続きを始めます。
手続きには国籍・氏名・本人確認書類の入力が必要。本人確認書類は以下が利用できます。
- 運転免許証
- パスポート
- 身分証明書
書類はスマホのカメラで撮影したものをアップロードするだけ。全ての手続きは10分程度で完了します。
入金方法
Phemexへの入金方法は、仮想通貨で送金する方法と現金で仮想通貨を購入する方法が利用可能。
ここでは、仮想通貨で入金する方法を解説します。
- マイページの「入金」ボタンを押す
- 入金したい仮想通貨と使用するネットワークを選択する
- アドレスもしくはQRコードを使って入金する
仮想通貨で入金するには、国内の取引所もしくは自分で用意したウォレットが必要です。
「入金」ボタンを押して入金メニューに進み、入金したい仮想通貨と使用するネットワークを選択。
アドレスをコピーするかQRコードをウォレットで読み込んで、国内の取引所や自分のウォレットから送金すれば手続き完了です。
なお、ネットワークやアドレスを間違えると入金できずビットコインが失われてしまうので、注意してください。
出金方法
出金は基本的に仮想通貨のみで行います。手順は以下の通り。
- マイページのウォレットアイコンから「出金」ボタンを押す
- 出金したい仮想通貨と出金額を選択する
- 出金用のアドレスとネットワークを選択する
入金時と手順はほぼ同じで、出金したい仮想通貨と出金用アドレス、ネットワークを選択して出金を完了させます。
なお、出金用アドレスとネットワークは国内の取引所など自分で用意したウォレットで確認してください。
ちなみに、Phemexでは法定通貨での入出金も可能ですが、金融機関の手数料が掛かるため仮想通貨での入金がおすすめです。
まとめ
Phemexは577種類以上の仮想通貨を取り扱っているシンガポール出身の取引所です。
現物・先物取引の他、オンチェーン取引も行っており、様々な取引方法を利用できるのが強みの1つ。
ですが、2025年1月にハッキングによって7000万ドル以上の被害を出しており、セキュリティ面での問題が不安視されています。
また、日本の金融庁に登録していないためトラブルがあっても自力で対処しなくてはなりません。
日本には無いサービスを提供している魅力的な取引所ですが、利用する際は十分気を付けてください。